フォロワーさんがアマプラに追加されたことをツイートしてくださっていて、久しぶりに思い出した作品。
映画を観て、あまりにも感動して即日小説とBlu-rayもポチってしまったくらい本当に素晴らしい作品です。昔書いた感想を引っ張り出してきたら、ほとばしる情熱が感じられたのですこし整理して載せてみます。
最新作でもないんですけど、こういう行き場のない文章をまとめたくてお金払ってサーバー借りたんだろ……!と強い気持ちで……。2年前に書いたものです。


映画

とんでもなく美しくて、甘くて切なくて素晴らしい映画を観ました。

公式サイト

美しすぎる、舞台のイタリアの避暑地の風景も、主演二人の俳優さんも、光も音楽も全部。キラキラしている水と緑が眩しくて綺麗すぎて、こんな美しい季節がずっと続くわけなくて、それが二人の恋が終わりが必ず来る一夏のものであることを象徴しているみたいだった。綺麗なのにすごく切なかった。
エリオ役のティモシー・シャラメくんがですね、17歳、「17歳」の儚さ未熟さ美しさすべてを詰め込んだみたいな男の子で、あ〜〜〜もう本当に美。美しいとしか言えない。調べたらこの子これが初主演なんだそう。素晴らしいよ……
Yahooのページにあった評が素晴らしくて、すこし引用します。

熟れた果物に歯を当てた時に飛び散る汁のように、夏の光が二人に降り注ぐ。青い湖のせせらぎが、風が、ピアノの音が、エリオを官能へと誘う。我を忘れるような最初の恋の感覚が観る側の身体になだれ込んでくるような、センシュアルな映像が素晴らしい。そしてこの恋の描写はとてもデリケートだ。オリヴァーはエリオの思慕を利用して、彼を支配するようなことはしない。ゆっくりとエリオの真意を確かめるように、彼の無垢を慈しむように、青年は少年に近づいていく。だからこそ、二人が結ばれるシーンは美しいのだ。十代が年上の人間とひと夏の恋を経験して、大人になっていくというプロットの映画は沢山ある。だけど、この映画のエリオほど大事にされた主人公はいない。このデリカシーは「君の名前で僕を呼んで」が普遍的でありながらモダンな作品である証のひとつになっている。(中略)
夏が終わる頃、エリオは永遠に自分の一部だったものを失い、新しい彼になっていく。そのエリオを包む父親のパールマン教授を演じたマイケル・スタールバーグがいい。彼はエリオの恋を裁くような真似はしない。パールマンが最後にエリオに話すシーンは感動的だ。これはどのような初恋も祝福されるべきだという、ジェームズ・アイヴォリーから若い世代へのメッセージなのだ。そして劇中のエリオと同等に、この作品ではティモシー・シャラメという新しい才能がとても大事にされている。たった今しか観られない彼の輝かしい魅力に満ちた、主演デビュー作だ。(山崎まどか)

「どのような初恋も祝福されるべきだ」、本当にそうだ、そうなんだよ〜と頷いてしまった。
最後のお父さんとの長い長い会話のシーン、一つ一つの言葉が小説の一節一節を読んでいるようで、字幕が表示されるたびに心臓がギュンッギュンって苦しくなって、切なくて、映画を観ていてこんな体験をしたのは初めてでした。あ、ここ大切だ、人生の核心だ、って小説を読んでいてグッとくることがあるけど、字幕を見ていてそう感じるのは初めて。もう一度観直して、メモしました。
教授が二人の間にあったものを「恋」だとは言わなかったことが印象的。「稀有で特別な絆」「お前と彼の間には、知性だけではないすべてがあった」「お前たちは美しい友情を得た 友情以上かもしれない 羨ましく思う」
お母さんも聡明で、本当に羨ましい。あんな母親がいることと、あんな母親でいられること両方。
ていうかね、17歳くらいの、思春期のあの頃をあんな感じの距離感で大人が見守ってあげられるのってすごくいいよね。日本って難しいよね。子どもはいつまでも大人が望むような子どもらしさでいることが良いことみたいな風潮あるし、きちんとした(そして実際的な)自分の性のことも教えてもらえず、それについて触れるのはタブーのように扱われるし。でも性について興味持つのは当然のことだし、あの頃の自分を振り返ってみたって「子ども」ではなかったよね。性欲の健全な解消方法がスポーツのみって無理あるよね、ってどこかで読んだなって思い出した。
あの知的で聡明なご両親、すごく素敵だった。最後に小旅行に行かせるの、めちゃめちゃ粋だし、お母さんが迎えに行ってお父さんが「おかえり」って迎えるの、すごく良かった。
そしてお父さんが考古学の教授で、オープニングから石像のスライドで始まるんだけど、映画全体や会話に流れるアカデミックな雰囲気がとても好きでした。水と光のキラキラと、古い書斎の埃が混じり合ってる感じで。登場人物たちのファッションも素敵で、私は今年の春夏はあれを真似したい……淡い色のデニムに、オリヴァーとエリオみたいな綺麗な明るい色のシャツをさらっと着たい……ファッションまで全部美しかった……(2022年追記:結局当時そんなおしゃれなことはできませんでした)
オリヴァー、エリオと気持ちが通じ合ってからすんごい雰囲気変わるんだよね。ミステリアスな、何考えてるかわからない感じだったのが、すごく優しい目でエリオを見るようになるし、なんとなく切実な、真剣な表情をするような気がする。
あ、あと果物の描写が色っぽくて素晴らしかった。アプリコットと桃。


この後小説を読みました。その感想文